やっぱり、成長してない?
と思ったのは、僕だよ、僕。
久しぶりの読み手の僕だよ。
いやー、前に出てきたのって、末っ子の時だよね。
それを除くと、もう何年前?
時の流れって怖いねー。
まぁ、いいや。
いやね。
山長さんの次女ちゃんなんだけどさ。
ついさっき、たまたま見かけたんだよ。
ほんとだよ。ほんとにたまたま、買い物してるのを見てさ。
その時におもったんだけどあれ、なんか、あんれ?
隣にいたシロよりも、胸囲とかさ。ほら。
「ってことなんだ」
「いや説明不足が過ぎるぞ。そりゃ」
「くぅさんや、雰囲気で伝わるよきっと」
「少なからず『山伏の次女が一度死んで不死であるのに、髪や新陳代謝以外において、僅かながらにも肉体的な成長が見られている』なんぞ伝わらんぞ」
伝わってんじゃん。
そう。
目の前にいる館主は、コーヒー片手に僕とそんな談笑をする。
談笑?
いや、断承であったはずの肉体が、成長していると云う、考察をしている。
「前にな、露華ともあの連中の考察をしたんだよ。」
「おっとチートだ。僕すら会えないというのに。」
「はははそれがね、露華ですら、浄点ですら『なんかわかんない』だそうだ。」
「おっともう迷宮入り」
「まぁまて。なんかっていうくらいだから、ちょっとはわかるそうだ」
そういうと館主は、山積みになった資料の中から一枚のA4紙を取り出した。
「おっふ、すごいですねこれ。」
「だろ?」
一面ぎっしりと文字が敷き詰められている。
山伏、不死性、熊、山、鬼、鶴、蛇、狸、鯉、神、ゴミソ。
その他もろもろ、意味深な単語と考察の痕跡。
「露華が、私との考察の翌日に、一人で持ってきたモンだ。」
「眼だけじゃなくて思考すらチートとか、こりゃ時間の問題じゃないですか」
「まぁまぁそれはおいておこう。でな、ここを見ろ、ここ。」
館主の細い指先、赤いネイルの先端には、こう書かれてあった。
『火鶴は成長している』
単独の奇跡、かぁ。
いや、僕が言うのもおこがましいけどさ。
本当の奇跡だ。
館主は満足したのか、また事務室に戻っていった。
僕も浄点ちゃんが来る前に帰るとしましょう。
…見るに。
普通の人の1歳が、まぁおおよそ次女ちゃんの成長具合から50年としよう。
普通のヒトの寿命を70歳くらいとするなら、たしか山長さんが言うには…17?18?まぁ四捨五入して20差っ引いて、残50歳?
50かけ50で、2500歳?
鶴は千年、どころじゃないじゃないか。誰だよ千年なんて言ったの。
そういえば。
シロと次女ちゃんって似てるよね。
見た目も、服すら。
性格は違うけども。
以外にも奇跡の形っていうやつなのかもね。彼女らが。