10年っていうのは短いようで、けれどもあっという間なのよね。
短冊をつけるという習わしも変わらなければ、空の星々に願いを託すことも。
「願いは叶いましたか?」
一人目はシロ様のお子様に。
「願いは叶いましたか?」
二人目は吉川のお孫さんに。
「願いは叶いましたか?」
三人目は先代の露の魔女に。
一日で三回も、まったく別の人から同じ質問をされるなんて、そうそうあるわけないじゃないの。
そら、早く答えを言うんだよ、って言われているようで。
けれども、きっと私がその答えを出せていないからじゃないかしらね。
…いんや、答え自体はきっともう、私はわかっているのよ。たぶんだけども。
珍しくも、子供たちがみんな寝静まった後。
すでに七夕も終わって日が変わってすぐ。
一人縁側から月と笹飾りを眺めながら暑夜を過ごす。手元に最近抑え気味の日本酒を携えて。
10年前にも、同じことを聞かれた。
それに、同じように答えられなかった。
そして、同じように月を眺めた気がする。
山長としていても、眼がよくとも、私自身のことはわからないものね。
けれども、10年前と同じままというのも味気ないから、そうねぇ…。
「…そうね、驚くほどに。」
あっという間の10年は、それほどに変わることもあるのよ。