缶チューハイだってお酒だもの。

いいじゃない、ほろよい。私は好きなんだって。


…と、心の中で大声を出すのも、朝の掲載会議のせいだった。

幸い私の持ち込んだ「ネタ」は、晴れて正式な形で取材許可が降りたため、これから長期の専属取材に入る事となった。

それはいいの。

その会議が終わった後に出た編集長の「今日の打ち上げ、ビールしかない店なんだよ。まぁワインとか日本酒とかはわかるけどさぁ、打ち上げでチューハイ飲む奴なんて居ないから、まぁいいよなぁ。」という言葉がトリガーとなった。

普段の私の「憤り」も上乗せされたこともあるけども、あるけども、あるんだけども、「あ、わたし今日は遠慮しますでは〜」という仮面を投げつけ、今に至ることになったのだ。


それは、ともかく。

それでも私は、缶チューハイを片手にしながらも、明日からのスケジュールを再確認していた。


「まずは、目撃情報から。かな。」


幸い、私が住んでいる市内から、車でいける範囲の場所。

産地直売所の付近にてとある少女が、袴姿で空を飛んでいたという。

向かう先は岩木山のある方向だったと、手振れた写真をとった会社員男性は嬉々として話していた。


土地柄、こういう手の話は昔から多かった。

岩木山という津軽富士があるのも大きい。古くから農家で開けた地域だったということもあって、各所に神社や寺なども大小さまざま建立されている。そして自然と「お山信仰」につながることから、岩木山に近づくにつれ、そういった隠れパワースポットも多いのだ。

オカルトの宝庫。そういっても過言ではないと、私は子供のころから思っている。


けれども、私自身が「そういったコト」を体験したことがない。

それを確かめたい思いもあって、こうやってジャーナリストになったんだけども、一向に出会えない。

そのチャンスが、ついに来たのだ。

幼子といえど、空を飛ぶ幼子なんだ。

人は普通、単独で空は飛ばない。


内心、超が付くほど高揚してた。

古書を開く手が、いつも以上にスムーズだったのも、きっとそのせいだろう。

そしてそのおかげか、目撃情報があった場所にちなんだ、とある伝説を見つけた。


「津軽富士見湖…白姫伝説…白山姫神社…」















マエ ツギ