とりあえず温泉いこう。


え、何々、どうした私。

なんでこの発想になった。


いや待てココドコ。

あ、温泉だった。

私今、富士見湖の畔の温泉だった。


…とまぁ、『アノあと』の私は、訳もわからず震えも止まらずで、ついに頭がオーバーフローしたのである。

『落ち着こう』が見事に飛躍したらしく、『そうだ温泉にいこう』となり、今私は、津軽富士見荘という地元の温泉にいた。


津軽地方でも取り分け、この辺りの温泉は「しょっぱい」のだ。

此が身に染みてキくのがわかる。普段デスクワークも多いため、肩凝りや腰痛持ちの私にはもってこいの場所だ。

まだ昼間ということもあり、ほぼ貸し切り状態だ。それこそ間も無く来るであろう「ねぷた祭り」や、花火大会の時期だと、この旅館も観光客でごった返しているのだけども。


まぁそれもあってか、のぼせない程度になが風呂していたわけだけど、まっっったく、頭の整理がつけられない。

あの少女と遭遇した、ほんの一時。

私の長年の夢が叶ったであろう一瞬は、喜びではなく、一種の恐れになっていた。

あの女の子が怖いとか、もともとの伝説が怖いとか、そう言うのではない………そう言うんじゃないんです。


わたしが、首を突っ込んでいいのかと。

引き返せなくなるのではなかろうかと。


いやいや考えすぎでしょう私。なんて思うようにもしましたが、どうもうしても杞憂になってくれない。

「と、いうところです?」

「え、ええまぁ、あって、ますけど…。あの、ちなみにどなた、でしょうか……?」

旅館の食事処で中華そばをズルズルしていると、旅館の人、なのかな、見た目さっきの女の子よりも幼い女の子が話しかけてきた。

幼いんだけど、他の周りの旅館の従業員さんたちと同じ和服をみるに、成人はしている、みたい。

「あ、お気になさらずです。少し悩んでらしたようなので、つい。」

そう言うと、目の前の女の子は、長髪のポニーテールを揺らして、私の向かい側に座った。

「今日は午前だけのお手伝いだったので、もう帰ろうかなって思ってたところなんですよ。もしよかったら、お話聞きますよ?」

なんて優しい事を言ってくれるのだろうか、この女の子は…。


普通に考えるのなら、あからさまに怪しいシチュエーションだというのに、このときの私はまだ頭の整理がつかなかったからか、ふと目の前の女の子に聞いてしまったのだ。

「あの、山伏って知ってます?

 なんかね、最近この辺りで空飛ぶ女の子が目撃されてるんだけども、てて、あ、わたし記者やってて。それで目撃情報あったのがこの辺でね。なんかその子に似てる女の子が、最近はやりのyoutuberってやつで、『山伏』って名乗ってて………。

あ、ごめんなさい、私ったらついペラペラと」

「暫くは雪輪お姉さまに迎えにきて貰お(ボソッ」

「え、今なにか」

「いいえ!!!記者さんも大変なんですねぇ…。あ、そ、そうだ!わたし、前に、空飛ぶ女の子みましたよ!!!」

「え!?ど、どこですか??!??」


………今思うと、なんとなくあの女の子、山伏のあの子に似てたきも……まぁ、髪色はもうすこし青かった気もするし、髪も後ろでポニーに結ってたから、うん、やっぱり気のせいかも。

なんて思案しながら運転していたが、夕方には次のポイントに到着していた。


街の外れ、山手のほうにある大図書館だ。


…この時はまだ『これ以上は首を突っ込んではいけないのでは』なんて思っていたというのに。

好奇心は何よりも勝る。

なんて、誰が言ったか。















マエ ツギ